幸日記

【岐阜県羽島市】幸の事件簿#8【埼玉県蓮田市】

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4月30日夕方の作業

4月30日、岐阜県羽島市から事務所に戻り、他の利用者様の支援がないことを確認し、作業を始めた

棺の組み立てである

初めて梱包を解くと、中には折りたたまれた棺と枕、布団が付属しており、説明書通りに組み立てる

組み立ては本当に簡単で、左右を広げて頭と足の部分に板をはめ込むだけで箱ができあがる
あとはそれに蓋をするだけの女性でも道具なし、力なしで組み立てられる棺となっている

組み立てが終わったところで、次の日の忘れ物がないか、最終チェックをして4月30日は終えた
しかし、自分の車に棺桶が乗っているのは決して気持ちのいいものではないし、貴重な体験だとも思わない・・・できればないほうがいい・・・

令和3年5月1日の支援

前日と同じく10:00に岐阜羽島駅に着き、孫娘と祖母を迎えた
今回の支援は火葬場での火葬と納骨

納骨は本来、墓や永代供養へ納めるまでを言うらしいが、今回は骨壺に収めるまで

少し早く着いて、孫娘と祖母は時間通りに岐阜羽島駅から出てきた
聞くと、朝まで漫画喫茶を利用し、岐阜羽島駅で喪服に着替えたそうだ
この時は20代の健康で明るい女性が生活保護を受けて、高齢のお祖母様を連れて漫画喫茶に泊まり、駅で喪服に着替えるなんて・・・と正直、不憫に思っていた  この時は・・・

羽島市警察署へ故人をお迎え

羽島市民病院で検死を受けた後に移送された先は【羽島警察署】の遺体安置所
車を遺体安置所に一番近い駐車場に停めた

孫娘が警察官に祖父を引き取りに来たことを伝えると、手続きが必要とのことで、署内で20分ほど待った

一通りの手続きが終わり、祖父の遺留品を孫娘が受け取り、警察官から「では、故人を乗せる車をあそこに、車の頭を向こう側につけてください」
と言われた
私も一緒に聞いていたので、車を取りに駐車場へ向かって、移動させると警察官に止められた
「一般車両はこっちには入ってこないでください、今、霊柩車が入りますので、出てください」
うん、まちがってない
普通はそう思うし、そういうだろう
しかし、今回は霊柩車は来ない、この黒いハイエーススーパーGLワイドで移送するのだ

声をかけてきた警察官にこの車で運びますと、車を降りて、荷台にある棺を見せた

「あ・・・あ~~~了解しました、失礼しました、こちらへどうぞ」
と誘導してくれた

ご遺体の引き渡し

誘導された場所まで車を移動させると、すでにご遺体は遺体安置所の扉の前まで運び出されていた

その姿は毛布と遺体を安置する時に専用で使用するような物に包まれていた
家族がご本人であることを確認している間に、私は棺を出し、こちらにお願いしますとご遺体の近くに置いた

包まれていた物が全て捲られ、警察官が数人でご遺体を棺へ納める

棺に蓋をして私も一緒に棺を持ち、車に乗せる
乗せた瞬間、すこしざわっとしたことを今でも覚えている

孫娘が警察官にお礼を言い、斎場へ移動

車を羽島警察署から出す時、バックミラーでたまたま見たが、ご遺体に関わってくださった警察官の方が、見送りながら手を合わせてくださったことがともて印象的だった
現場検証の時もとても低姿勢で私のことを気遣ってくださりながら言葉を慎重に選んで質問をしてくださっていたことを思い出し、こういう警察官ばかりなら惜しまず協力しようと思いながら車を出した

斎場までは15分ほど
車中では孫娘、祖母共に「幸さんがいてくれてよかった」と何度も言ってくれた
私自身もこのようなことになるとは思わなかったので、恩に着せるわけではないが、関わっていてよかったと思った

羽島市営斎場

できるだけ車を揺らさないようにいつもより慎重に運転をし、羽島市警察署から15分ほどで羽島市営斎場に到着

入り口で受付を済ませると、係の方が棺を乗せる台車を持って正面玄関に来てくれた

すぐに車を正面玄関に移動させ、棺を滑り下ろして台車に乗せると孫娘、祖母と共に斎場の中へ

私は40分ほど駐車場で待機となった

火葬は1時間ほど

約1時間ほどで火葬を終えるとのことで、その間、喫茶店で時間を潰すことに
近くのコメダ珈琲へ行き、飲み物を口にしながら、孫娘、祖母と過ごす
遺骨は永代供養をどこかでお願いしようと考えている、祖父が暮らした家を早くも片付けなければならない
家賃が発生してしまう
そこで、またもや私に降りかかってきた

「祖父の自宅の片付けをお願いできないでしょうか?」

うわ~~~・・・どうしよう・・・
数秒の間、この言葉が頭の中を駆け巡った

これまでの祖父への支援費・購入品の立て替え金、孫娘、祖母への2日間の支援費等々をまだ1円ももらっていない・・・

「以前、生活保護を受けていると話したのを覚えていますか?
今は、自分で仕事を探しながら、生活保護を受けなくて良いように動いています、支払いも祖父祖母の年金が入ったらすぐにお支払いすることを約束します」

まだ支払いが全くないことを伝え、少し考えさせてくださいと伝えたところで1時間が経過し、店を出て羽島市斎場へ再度向かった

納骨、お送り

羽島市斎場に着き、骨壺を持って孫娘と祖母が斎場へ入っていく
私はまた駐車場で待機
その間、祖父の自宅の片付けをどうするかをずっと考えていた


30分ほどして、孫娘と祖母が斎場から出てきた
小柄な孫娘は大きな骨壺を抱えて持ってきた
お疲れ様でした、と声をかけ、羽島駅までお送りする
その途中、100円ショップに寄ってほしいと言われ、駅までの道中にあったセリアへ
骨壺を裸のままで持っていたので袋がほしくて寄ったようだ

購入した袋に骨壺を入れたが、その袋を見てもだれも骨壺が入っているとは思わないような柄だった

セリアから数分で羽島駅に到着
片付けの件はまた連絡しますと伝え、二人は喪服のまま構内へ消えていった・・・

片付けの件はまいった・・・
やらないと家賃が発生するのはわかるが、こちらとしても商売である以上、ある程度のところで集金をしないと・・・
しかし、年金ってどれくらい入るんだろう?
幸に支払って生活していけるんだろうか?
少しずつ自分の中で不信感が大きくなっていった時だった

#9に続く

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