幸日記

関市から特殊清掃依頼#2 現場確認・見積もり編

特殊清掃用作業服に着替え、現場確認

防護服
不織布製で、内側にビニールが貼り付けてあり、空気を通さない防護服です
空気を通さないので、夏場はめまいがするくらい暑くなりますが、特殊清掃現場には様々なウィルスが空気中に漂っているため、できるだけ肌や衣類に付けないようにと、少しお高いですが使い捨てで使っています

防護マスク
このマスクは、所謂、【防毒マスク】を使用しています
現場毎でフィルターを新品に変え、本体は毎使用後に消毒丸洗いをしています
マスクをして、目を閉じた状態で、大便を鼻先に出されても臭いは感じません

手には同じく使い捨てのグローブ
普通の使い捨て手袋の3倍の厚みがある物です
現場では思いがけず手袋が避けてしまうこともあるため、なんとか使い捨ての許容範囲で一番厚みのある物を選んでいます

足はゴム長靴
これは市販の白い底が飴色のゴム長靴です
黒の長靴でもいいんですが、底の厚みが違うのと、汚れが一目瞭然で、作業が終わった後で清掃しやすいという点を考えて使用しています
ちなみに今回は白長靴は別現場で使用していたので、黒長靴を使用しています

その他入室する前の準備品

入室する前に、準備する物がまだあります

マスカー(各サイズ)、目張り用テープ
マスカーとは、テープとビニールが一緒になった、よく塗装屋さんが使用している物です
目張り用のテープは、剥がしたときに跡が付かなければ何でもいいんですが、両方とも臭いが外に漏れないように室内を密閉遮断するために使用します

カメラ
これはスマホを利用しています
終わったら消毒液を多量にかけるため、完全防水のスマホを使用しています

懐中電灯・ヘッドライト
たまに、電気契約を切っていることもあったり、夜間の現場確認の場合であまり煌々とと電気を付けたくないと要望された場合に使用します

消毒液、次亜塩素酸、タオル
これは玄関外側に置いておきます
次亜塩素酸はバットに入れて、長靴の底を殺菌するのに使用します
殺菌後は耐性のある蓋付き容器に入れて、処分します

ここから下の記事はグロテスクな内容を含みますので
苦手な方は画面を閉じてください

鍵をお預かりして現場確認

年間30件以上の特殊清掃を行っていますが、玄関に近づくにつれて緊張が高まるのは変わりません
大家さんから鍵をお預かりし、鍵を開けて中へ入りました

マスクをしているおかげで腐敗臭などは全くしません
男性で独居、高齢の方ですが、室内の整理や清潔は今まで見てきた方々よりもできているように感じました

若い方から見れば汚い部屋だと思われるかもしれませんが、年齢等を考えると、綺麗な方です

キッチンを見ると、洗い物がほとんどないことや、ペットボトルを洗って捨てるためでしょうか、並べてい置いているところを見ると、細やかな性格の方だったのではないかと推測します

一目でどこでどのような姿勢でなくなられたのかがわかる写真です
警察の見立てでは死後1ヶ月程度経過しており、その間誰にも発見されなかったそうです
遺体の痕跡は体液が排出、腐敗によってついた跡です

腐敗液、腐敗跡

人間には色々な体液が体の中を駆け巡っています
その中でも特に強い液体は【胃液】で、酸性でるため、あらゆる物を溶かします
人は亡くなると、体中の筋力が失われます
鼻、口、耳、肛門、毛穴などの人間の体の穴という穴が緩み、そこから体液が滲出します

その体液が皮膚や肉を溶かし、バクテリアが活発になり腐敗していきます

どこからともなく生まれる虫

以前、買ってきたタマネギを一つだけ冷蔵庫に入れ忘れ、なんだか変な臭いがするし、小バエが多いなと思っていたら、キッチンの隙間にタマネギが転がり込んでおり腐敗していました

そのとき思ったのが、「タマネギに虫なんか付いてないのになぜこんなに虫がわくのだろう・・・どこにいたんだろう・・・」

虫の卵は目に見えないくらい小さな物もあります
家のあちこちにその卵があったり、ほんの少しの隙間から臭いを頼りに虫が寄り、卵を産み付け孵化するケースがあります
実際に、ご遺体があった場所を撮影していますので見てみましょう
ご遺体を運び出してから1日経過後です

入室したときにパチンコ玉ほどの大きさの蝿が大量に死に落ちていました
床には腐敗した体液をエサにしている蛆虫がたくさん蠢いていましたが、特殊清掃の現場では当たり前な光景で、その発生源はご遺体のあった場所や、食べ物のある場所になります

部屋の全てを確認しながら密閉遮断

物の大きさやおおよその数、腐敗液の染み込み具合等を見ながら見積もりを出していきます
部屋を出て依頼主と話すときは清潔にして対面しなければならないため、見落としてまた戻るなんて事がないように隅々までしっかりと見ながら、部屋の内側からしっかりと目張りをして外に室内の臭いが出ないようにしていきます

最後は玄関の扉を外側から目張りをしてから防護服を脱ぎ、長靴を洗浄し、マスク、手袋を外します
長靴、マスクはその場で消毒をして、手袋と防護服は持ってきたゴミ袋に入れてゴミ袋の口を結んで持ち帰ってから廃棄します

全身を消毒

着ていた肌着を着替えたときに全身消毒用の消毒液を噴霧して全身を消毒します

これは介護の仕事で大手の会社から頭から顔、陰部から全てに使用できる消毒液の提供を受けています
この消毒液の提供を受けているのは全国でも幸だけで、施設長時代から施設や利用者様、色んな場所に使える消毒について何度も問い合わせて仲良くなっており、この仕事を始めるときに相談をしたら、モニター的にであれば使ってくださいと提供を受け続けていますので、それを全身に噴霧して消毒してから依頼主様に報告します

見積もりはあくまでも見積もり

まずは内部の現状を報告します
撮った写真や動画をご希望された際にはそれもご覧頂きます

その後、目張りをして、中の臭いが外に漏れ出さないように初動処置をしたことを伝えます

そして見積額と作業に必要な日数をお伝えします
この見積額は消毒、除殺菌、消臭、室内の物の処分です
※全ての物を対象としていますので、残す物があれば見積額より安くなることもあります

ここから依頼主にどこまで原状回復させるかを考えてもらいます
幸では、クロスの張り替え、床・壁・天井の張り替え、床下の消臭などのリフォームやハウスクリーニングは別料金となりますが、協力業者がいるため、金額はほ材料にこだわらず、これまでお願いしてきた料金であれば変わらないので、私でもリフォームの見積もりは出すことができます

ハウスクリーニングも同様で、簡易的な掃除はしますが、専用具を使ってのハウスクリーニングは普段幸が行っているハウスクリーニングの料金がかかってきます

ここでご希望のリフォームやハウスクリーニングを入れ込み、最終的な見積額を決めます
しかし、見積もりはあくまでも見積もりのため、後から要望が増えれば金額も増えていくのが現実で、ほぼ全依頼主様が最初の見積もりよりも増えています

ここまでは無料

連絡を受けてから現場確認、目張り、見積もり、報告まで行ってから必ず依頼主様に言うことがあります

「できるだけ早い方がいいですが、明日、明後日中で他の特殊清掃業者もあたって見積もりを取ってみてください、業者毎で技術も金額も違いますし、その差も大きいこともあります、ここまでやっておけば1日くらいはゆっくり業者探しはできるとも思います」

・・・と
しかし、今のところ、50件以上の特殊清掃に携わってきましたが、一度も他業者に乗り換えられたことはありません
本当にありがとうございます

次の記事では、いよいよ特殊清掃作業に入っていきます

特殊清掃のご相談、ご依頼は幸まで
清掃、片付け、リフォームまで承ります

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