幸日記

【岐阜県羽島市】幸の事件簿#5【埼玉県蓮田市】

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【岐阜県羽島市】幸の事件簿#1【埼玉県蓮田市】


【岐阜県羽島市】幸の事件簿#2【埼玉県蓮田市】

【岐阜県羽島市】幸の事件簿#3【埼玉県蓮田市】
【岐阜県羽島市】幸の事件簿#4【埼玉県蓮田市】

令和3年4月23日の支援

この日の支援内容は

  • 洗濯機が問題なく動かせているか
  • 買い物付き添い
  • 火の元の安全、水の出しっ放しがないか

等を見る予定だった・・・

これまでと同じ10:00に自宅に着くように向かい、予定通り10時前に着いた

いつも玄関は鍵をかけずに過ごす方なので呼び鈴を押して、玄関を空けて「○○さん、おはようございます、幸の野村です~」と声をかけた瞬間、本当に微かな臭いが鼻をついた

シンク前で横たわる利用者様

おそらく特殊清掃をしたことがない方や、ご遺体と関わる仕事をしたことのない方が大半だと思うが、鼻をついた臭いは私が知っている所謂【死臭】だった

それを感じた瞬間、【まずい!!】と思い、急いで中に入ると、シンク前で仰向けになって横たわる利用者様を発見した

孤独死を発見した時にやるべき事

つい最近まで元気だった方が家の中で亡くなっているのを発見する時は急に訪れます

そんな時に焦らず、落ち着いて確認することがあるが、最低限の接触だけで済ませなければならない
その理由としては、救急隊、警察の確認の時にややこしくなるため

  1. 目視で怪我がないか
  2. 呼吸はしているか(腹部、胸部の動き、口元に手を当てて確認)
  3. 脈はあるか(首、手首、心臓部で確認)
  4. 呼びかけに反応はあるか

これらを確認して一つでもあてはまったら救急要請

救急要請は119番

このとき、気をつけることは、【聞かれることに簡潔に答える】
救急車を呼ぶ際に、電話口で聞かれることは概ね決まっており、普段からこれを気をつけて、情報を持っておくとスムーズに伝えることができるため、下記のリンク先を見ておいてほしい
【救急車の呼び方】

実際に確認したが、すでに体は冷たく、呼吸もなく、血液が巡り流れている感覚がない
わかってはいたが、呼びかけにも反応はなく、むなしく自分の声だけが家の中に響く

このような現場に遭遇するのは介護の仕事を始めて4回目、この仕事を始めて2回目だが、何度経験しても利用者様がこのような事になるのを目の当たりにすると、この前まで元気に一人で歩いて美味しそうに煙草を呑んでいたのにと涙が溢れてくる

しかし、感情を押し殺してとにかく早く救急要請、家族に連絡をしなければならない
そう、こういうときこそ、冷静にならなければならないのだ
涙は溢れてもいいから冷静に

救急要請と心肺蘇生

救急:火事ですか?救急ですか?
幸 :救急です
救急:どうされましたか?
幸 :私は介護ヘルパーです、本日10時から訪問して生活支援をするために利用者様のご自宅に来たら、呼びかけに返事がなかったので部屋へ上がったらキッチンのシンク前で仰向けで倒れておられ意識不明です
救急:呼びかけには反応されますか?
幸 :反応はありません
救急:では、救急車を出しますので、まずは住所を教えてください
幸 :岐阜県~~~~です、道が狭く、わかりにくいので音が聞こえたら外で誘導します
救急:倒れている方の名前と年齢を教えてください
幸 :○○○○様です、○才です
救急:今電話しているあなたのお名前と連絡先をお願いします
幸 :野村周平です、電話番号は・・・です
救急:救急車の音が聞こえるまでは心肺蘇生を行ってください、できますか?
幸 :心肺蘇生はできますので実施します
救急:では、これから向かいます

これが実際の救急とのやりとりです
これまでにボーイスカウト時代、自衛隊、ヘルパー資格取得時、施設長時代に10回以上の心肺蘇生講習を受けてきたことが役に立ちました

何も考えず、とにかく冷静に心肺蘇生を繰り返し、10分経つか経たないか位で救急車のサイレン音が聞こえてきた

救急車の誘導、聞き取り

家の前は軽トラックが通ったらドアが開けられないくらい狭い道だったため、その手前の道で救急車を止め、降りてきた救急隊員に「連絡したのは私です、野村です」と伝え、現場まで案内する

この時、救急隊員は土足で室内に上がることがあるが、急を要するため気にしない
後で掃除すればすむこと

ここで、ストレッチャーなどを準備した救急隊員も入ってこられ、ここからは全て救急隊員にお任せになる

自分は外に出て、救急隊員に聞かれる事を先ほどと同じように冷静に答える
この時のように、孤独死などの場合は現場の状況を見て、救急隊員から警察に連絡が行き、パトカー、警察官も現場に来るが、臆することなく、冷静に聞かれたことに答える
数人の救急隊員、警察官に同じ事を聞かれるが、それぞれに役割があるため、めんどくさがることのないように

野次馬は無視、地域の役人には伝える

救急車が来ると、漏れなく着いてくるのは近所の野次馬
ろくなもんじゃない、現状に自分の思い、想像などを山盛りにして広める迷惑極まりない集団である
この時はそんな野次馬オババ軍団を警察官が追い払った

その後、騒ぎを知った民生委員さんが来られ、民生委員さんには事の経緯を話した

家族には警察から連絡

これに関しては色々なパターンがあると思うが、今回の場合は警察から孫娘に連絡が行き、現場検証等が終わった後、こちらから孫娘に電話をし、経緯の報告、再確認をした

ご遺体は、最寄りの警察署に搬送されたようで、現場検証等の全てを終えたのは13:00

その後、冷蔵庫やシンクなどの生ゴミだけを片付けて、地域の方に許しを得てゴミ出し、電気、ガスを止めて家を後にした

突然の支援の終了

これを【貴重な経験】と言ってはいけない
こんな経験はない方がいいし、そんな風に思うのは利用者様に失礼だからだ

運命と言えばそれまでだし、遠く埼玉から戻ってきたこともどうだったのかもわからないが、利用者様の気持ちを考えると、せっかく戻ってきて、自由な生活を手に入れた矢先の事だったので無念だったと思う

ただ、家族は違う
孫娘も妻も【最後に自分の自由が叶ってよかった】と言っていた

何が正解かわからないが、現実はこういうことがあった、ということだ

遠く埼玉の家族に代わって支援をすることは仕事なので問題ない
この時、今後考えることは、後は何をするかということと、どのタイミングで精算するかだ

#6に続く

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